伊藤哲司の「日々一歩一歩」

ここは、茨城大学で社会心理学を担当している伊藤哲司のページです。日々の生活および研究活動で、見て聞いて身体で感じることなどを発信していきます。

6回目のサステイナビリティ学国際演習

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 9月上旬にタイ・プーケットでの国際実践教育演習が行われ、今年も引率者の1人として参加してきました。今年が6回目となるこの国際演習、茨城大学プーケット・ラチャパット大学との共同授業です。茨城大学からは院生10人と学部生2人が参加。ラチャパット大学からは、学部生十数人の参加がありました。

 今回もプーケットの北部にあるマイカオ村をフィールドとし、「エコツーリズム」「廃棄物処理」「健康増進」の3つのテーマごとにグループをつくり、村人の協力も得て、調査・検討が行われました。学生たちは村に3泊ホームステイしながらの演習です。共通言語は英語。ただどちらの学生も得意とは言えず、コミュニケーションをとるのに四苦八苦していましたが、そこも乗り越えていくのがこの演習です。

 毎年同じ場所に来ているので、私にとってもすっかり顔なじみになった人が何人もいて、とりわけ村に滞在中ご飯をつくってくれるおばちゃんたちには感謝感謝です。甘辛いことで有名なタイ料理ですが、おそらく日本人の私たち向けに、少し辛さ抑えめでつくってくれていて、今回も毎度美味しくいただくことができました。

 今回私が学生たちにとりわけ強調したのは、このマイカオ村の問題を、少なくともここに滞在している間は自分自身の問題として捉えることです。サステイナビリティというと地球温暖化のようにグローバルな問題に目が向きがちですが、問題というのはそもそもローカルに立ち上がるものだからです。このマイカオ村というローカルで考えた問題は、そこだけに留まらず、他のローカルにも通じることが見えてきます。学生たちも呼応して、それなりにしっかり取り組んでくれました。

 今回よかったのは、ラチャパット大学も正規の授業としてくれたこと。それによって学生たちの参加のモチベーションが今までよりずっと上でした。それに若手の先生たちがスタッフとして終始関わってくれたことです。そうしたタイの先生たちと親交を深められたことで、またこの地にも、あらため縁ができたと実感しました。

 もともとはインド洋大津波(2004年12月)の調査のため2005年3月にこの地を訪れたのがきっかけでした。プーケットにも大きな被害をもたらしたあの津波がなかったら、国際演習をこの地で開くことはなかったでしょう。当時からお世話になっている現地旅行会社社長の玲子さん(写真左)がいることも、大きなことです。彼女とは、プーケットだけでなく、その周辺もずいぶん一緒に歩きました。

 来年もまたプーケットに行きます。ただ6回も同じ場所でやってきたということで、フィールドとする場所はちょっと変わるかも。そういう相談がすでに始まっています。またよりよい国際演習の機会をつくり、学生たちに提供していきたいと考えています。

 (写真は、打ち上げの食事会で、主に食事をつくってくれていたおばちゃんたちと。真ん中一番奥は、いつも陽気な村長)