伊藤哲司の「日々一歩一歩」

ここは、茨城大学で社会心理学を担当している伊藤哲司のページです。日々の生活および研究活動で、見て聞いて身体で感じることなどを発信していきます。

常陸太田の御船祭!

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 ゴールデンウィーク後半の始まりの5月3日、5年に1回という珍しいお祭りがあるというので、留学生たちを連れて見にいってきました。福島県に隣接する茨城県北茨城市大津港付近。ゼミ生の留学生の1人が、この地で震災後のコミュニティの問題を取り上げフィールドワークを行っています。そのこともあって縁あって繋がっている地元の友人が案内してくれました。彼女の知人の家に寄せてもらい、用意された料理を頂きました。「これが日本の田舎のおもてなし。 遠慮なく食べて!」と。その日初めて会った私たちにご馳走するのに、なんの躊躇いもないのは、とても嬉しく有り難いことだと思います。コミュニティの人間関係の基盤ですね。

 震災復興と、海の安全、大量を祈願してのこの日、多くの人が故郷に戻ってきているようでした。震災で多くの家々が流され、とくに夜は閑散としてしまうようになったと。しかしこの日、多くの人々が集い、そして気持ちが通い合ったことでしょう。佐波波地祇(さわわちぎ)神社から下ろされたお神輿が何回も揉まれ、午後には御船に乗せられました。そして数トンもあろうかという御船が、ソロバンと呼ばれる板の上を揺らされぐっと引っ張られると、滑るように動きました。その様は迫力満点で、あたりからは歓声が上がり、摩擦で地面からは煙が上りました。勇壮な祭を間近で見られ、私もその一部になれたような気がしました。

 震災直後にこの地を訪れたときは、漁船が打ち上げられ、いくつもの家が流されているのを目の当たりにしました。それから3年。震災復興、そして海の安全の大量を祈願してのお祭りができたことは、地元の大きな力になったことでしょう。みなさん、いい顔していました。今後もまた、この地を何度も訪れてみたいと思います。